劇場版BLOOD-C

がっつりネタバレしてますよー。
(ちょいと書き足しあり)


今回、映画化されるに当たって最大限気になっていたことというか、心配していたのは、TV版でのあの過剰なまでの画面修正。画面の半分以上を白抜きにしなくちゃいけないような、殆ど「見えない」シラケル絵なら、それもう不要じゃん(怒)
と、毎週思いながら見てましたもん。
それなら、演出とかカット割りとか効果音とか雰囲気とかで、「あ、今頭からバリバリ食われてるな」って想像させるような画面の方が、断然残酷に見えるもの。
劇場版はそこのところが無事にクリアされていて\(^o^)/全然ストレスを感じることなく、ぐちゃぐちゃになってるのを想像しながら見ることができました。

お客さん、50人も入ってなかったのはちとびっくりだったけど(^^;


で、物語はというととってもCLAMP的な素直じゃない展開。

「あー、そうくるかー。うん、CLAMPならそうだよねー」

みたいな(笑)
結果、誰も救われてない、みたいな。

文人に関して。
以前の感想で、

「劇場版、CLAMPのことだから実は文人さんは完全な悪役ではなさそうな気がするなぁ。同じCLAMP作品の「レイアース」に登場したザガートみたく。」

みたいなことを書いていたんですが、本当にそうだった件ww
姫を護るために姫以外の全てを見捨てたザガートと、小夜を一人で飢えさせないために小夜以外の全てを犠牲にしようとした文人
CLAMP版BLOODは、文人から小夜への命がけのラブストーリーだわ。
人は増え続けるのに、小夜の餌となる<古きもの>はどんどん減り続ける。だから文人は小夜の為に、増えた人を使って<古きもの>を作ろうとした。
しかもその一番初めの実験体は自分自身。
映画の初めの方で文人が「小夜が来た……」とつぶやく場面で、彼の目が赤く光っていたように見えたのは、彼がもう人ではなかったからなのね。

勝者には褒美を
敗者には罰を

小夜の持つ刀に自ら貫かれながら、自分が人のままだったら小夜の呪いが解けたのに、と謝る場面。
小夜は人間を殺せないけれど、もし殺すことができたなら、小夜は<古きもの>を食べずに済むようになるってことなのかしら。
けれど、人から完全な<古きもの>を作り出すこともできず、小夜の呪いを解いてやることもできず……

文人は大局的には悪なんだけれど、小夜に対してだけは一途だったんだね。
最後の二人のキスシーンが切なくて好きです。
個人的には「Blood+」の小夜とハジのキスシーンも好きです。


で、映画版キャラで予想通りの動きをしてくれました(笑)蔵人。
「あー、そうくるかー。うん、CLAMPならそうだよねー」
の典型というかww

・蔵人と文人は敵対しているように見えて実は裏で繋がっている
・意外と蔵人の秘書である矢薙さんが繋がっている
・小夜以外のサーラット陣営、全員死亡

みたいな展開を考えていたのですが。CLAMPなんでww
みごとに一つ目でした。

この物語にラスボスはいないなぁ……


TV版から物議を醸し出していたあの犬。
案の定というか、見ていた人の10人中10人が想像していたとおり「四月一日」で(笑)
侑子さんから引き継いだ店の店主で。
セリフの中で「長く生きていると……」みたいなこと言っていたから、「XXXHOLiC」の何年とか何十年とか後の世界になるのかな?百目鬼もひまわりちゃんももういない世界。
周囲に振りまわされてばかりいた四月一日が、あんなに落ち着いた……というか物悲しい?感じになってしまうまでにどんな物語があったのか、その辺も読んでみたいです(「XXXHOLiC」も買い続けてるけれどまだ読んでない)
てゆーか、今回の映画で小夜たちが文人におびき出されたあの「十字学園」って、四月一日たちが通っていた学校じゃないか。


結論。
映画版はとても良かった。個人的にTVシリーズの評価は散々だったのだけれど、見事にひっくり返りました。
ただやはり、映画まで全部見ないと完結しない構成ってのもなんだかなーと思う。TV版見ていた人全員が映画版も見られるとは限らないもの。できることなら、この映画版まで纏めてTVシリーズでやってほしかったなぁ……

それくらい、納得の物語でした。TV版だけ見て、映画版どうしようかなーと迷ってる人はぜひ見に行って!!